自転車が繋いでくれた常連様とのご縁の話が「下諏訪市民新聞」(2017/1/8)に掲載されました。
とても素敵な内容なのです。ぜひ皆さんに読んでいただきたく、文字に起こしました。
自転車が縁 下諏訪ファンに
自転車が切っ掛けで下諏訪町のファンになり、ほぼ月1回のペースで来町、諏訪湖周などでサイクリングを楽しんでいる人がいる。千葉工業大学教授の利波雄一さん(61)千葉県八千代市=がその人。風を切って走る爽快な自然や諏訪大社の荘厳な空気、宿場町の風情などが気に入り、シニア世代が楽しめる滞在型のまちづくりに向け、県が進める湖周サイクリングロード整備事業にも期待する。
利波さんが下諏訪町を知ったのは3年ほど前のこと。米国のメーカー・キャノンデールの自転車を愛川している利波さんは、同社の中でもカーボン製フレームを採川したハンドメイドモデルを探し、メーカーに紹介されて東鷹野町にある専門店サイクリストマッサワ(松澤平吉店長)にたどり着いた。インターネットで調べるとテレビで見たことことがある御柱祭りの町だと分かったが、下諏訪がどんな所か当時は全く知らなかったと振り返る。
現在は製造されていない伝説のモデル。在庫として同店に残されていた1台を見て大喜びした利波さんは、組み上がるまでの数ヶ月間、仕上がりを確認するため下諏訪に通った。宿泊先としてみなとや旅館(立町)を紹介され、ファンだった文芸評論家の小林秀雄や画家の岡本太郎が利用していた宿だと知って感動。定宿となった同旅館のもてなし、諏訪人川や古い宿場町の面影が残る街並みの雰囲気が気に入り、訪れるたびに知り合いが増えて徐々に愛着も増していった。
完成後も、同店に自転車を置いてメンテナンスを依頼し、諏訪を走るために利用している。千葉の自宅にも同じメーカーのアルミフレームモデルを所有するが、千葉は車が多く、早朝以外は走りにくいという。「諏訪湖周辺は走りやすく、自然と一体になれる自転車の良さが味わえる。疲れた頭のリフレッシュになる」と、環境が異なる”2地域サイクリン”を楽しんでいる。
諏訪好きが高じ、昨は氏子の一人として鷹野町の綱打ちから参加。映像でしか見たことがなかった木落し坂を地元の旗持ちと一緒に下り、更に感動を深めた。「東北の震災時に盛んに言われた人と人との絆、日本にもともとあった肝心なものが、諏訪には残っていると感じる。奈良も好きだが、下諏訪は奈良のように変に観光化されていない。伝統を重んじながら情熱的で進取の気性も持っている。何度も訪れ、滞在し、隅々まで足を運んでこそ満喫できる町だ」とぞっこんだ。
サイクリングロードを整備滞在型観光にサイクリストマッサワによると、最近では自転車文化が定着している海外の旅行者が店に立ち寄り、ロードバイクのレンタルを希望するケースもある。利波さんは、山に囲まれた諏訪湖の周辺に古いものが残る景観を「日本庭園のよう」と形容し、自転車で回るのに適した距離感だと述べた。「何かのついでに来るだけでは下諏訪の良さは分からない。下諏訪に来たいと思って来る人をもっと増やすべきだ」とし、湖周サイクリングロード整備が、滞在型の観光振興につながる可能性を指摘した。
平成29年1月8日
下諏訪市民新聞より